期間工(期間従業員)の仕事内容と待遇

期間工(期間従業員)の仕事内容と待遇

期間工(期間従業員)の仕事は、給与もインセンティブも福利厚生もかなり良いけど、いったいどんな仕事内容なのか、ハードで耐えられないのではないのか、など少し心配になる方もいるのではないでしょうか。

いくら多くの給料をもらえるといっても、昔、よく都市伝説的に話題にもなった「マグロ遠洋漁船で1年間」などとは違って、いずれの勤務先も日本有数の車メーカー、部品メーカーが中心なので、雇用条件は細かすぎるほど遵守されています。

なおここでいう期間工(期間従業員)とは、大きなくくりでの、有期雇用(工場事務派遣や工場パートなど)の意味ではなく、いわゆる期間工(期間従業員)の仕事(車関連、電子メーカーに寮入居前提で3年働く仕事のこと)についての仕事内容をご説明いたします。

仕事内容

期間工(期間従業員)の仕事内容は、大きく分けて2つ。トヨタ、日産、ホンダ、スバルなど自動車の車体を製造しているメーカーと、それらの企業に自動車部品を納品する部品メーカーです。

部品メーカーといっても、大手企業が多く、たとえばトヨタ紡織であれば従業員数40,000人以上、アイシン・エィ・ダブリュであれば30,000人弱、などいずれも日本を代表するメーカーばかりです。

自動車車体製造メーカー

ボディーのプレスや溶接、塗装、エンジンやシャーシ(車の下、足まわり部分)の鋳造や組立、加工、完成品の組立など、車を生産する上での一連の流れ、フローの中の一つのポジションをメインに担当することになります。
どこのセクションを担当するかは、各企業、各工場によって異なりますが、いずれの場合も最初に簡単な研修をおこない、初心者でも取り組みやすくする工夫がされています。

例えば下記は本田技研工業の車の生産の流れです。基本的にはどこのメーカーもおおよそ同じ仕事内容になりますが、いずれも入社後、研修制度があり、未経験者でも仕事が出来るようになるまでスタッフが指導してくれるので、安心です。

  • プレス

    1,000~1,500トンのプレス機、4,800トンの大型プレス機を使用して平らな鋼板を成形。ボディやドアなど、高剛性が要求される部品が次々に生み出されます。ほとんどが自動化されており、工程管理や製品のチェックが主な仕事になります。

  • 溶接

    プレスなどで成形されたボディ部品をゼネラルウェルディングマシンで接合。高品質なボディを作りあげます。プレス工程同様に自動化となっており、仕事内容はプレスされた部品のセットや装置作業が中心となります。
    溶接

  • 塗装

    溶接されたボディに入念な下処理を施し、電着塗装・中塗り塗装・上塗り塗装の3回塗り、3回焼き付けで、より品質の高い塗装を行います。溶接で組みあがったホワイトボディーの塗装前処理や塗装後の外観チェックが主な仕事となります。

  • 車体組立

    コンピュータを導入したオンラインシステムで組立ラインをコントロール。さまざまな部品が効率よく組み付けられます。塗装後のボディーにエンジン、内装、足回りなどの部品を取り付けるのが主な仕事になります。

  • 完成車検査前後の補助

    安全で高品質なHondaのクルマは、外観商品性、ライトなど灯火器類、ブレーキ、足まわり、排気ガス、シャワーテストなど、お客様と同じ感性での厳しい検査を経て完成します。
    検査員が完成した車を一台ずつ検査機器を用いて検査する際の補助作業が主な仕事となります。

自動車部品メーカー

自動車部品メーカーの場合は、会社によって製造する部品が異なりますので、一概にはいえませんが、たとえばトヨタ紡織であれば車のシート・ドアトリムの組立、検査など、アイシン・エィ・ダブリュであればオートマティック・トランスミッションやカーナビの製造といった具合に各社のメインとする部品製造の一端を担うことになります。こちらも初心者でも問題無いように研修を経てから仕事に入ることが大半です。

下記は「期間工で働いたみんなの体験談」で掲載中の、全国から寄せられた体験談の一部を抜粋したものです。クリックをすると皆さんの体験談を読むことができます。

「男性 46才 富山県 体験談」

私が担当したのは、トランスミッションの組立工程でした。ラインでの流れ作業ではありませんが、作業時間のノルマは当然ありますし、立ちっぱなしで重量物も扱うので決して楽な仕事ではありません。ハウジングと呼ばれる鋳物のバリをとる作業や、トランスミッションの組立そのものを行う工程(ここは流れ作業)を担当しました。
心配していた2交代制の交代勤務は、始めてから2週間は生活リズムが作れず睡眠不足を感じましたが、仕事に慣れてくると交替勤務も苦ではなくなりました。

「男性 40歳 東京都 体験談」

私は初めての期間工の仕事をすることになったため、溶接など難しい仕事は担当せず、組み立ての仕事を担当しました。具体的には生産ラインの最終工程で、バンパーや窓ガラス、シートを取り付ける仕事を担当しました。
仕事をする前は、工場現場では怪我をする危険もあるのではないかと想像していたのですが、2人1組の体制で仕事をし、相方の男性期間工はベテランの方でしたので、指導を受けながら安全に仕事をすることができました。
勤務体制は、昼間勤務(午前8時から午後5時)と夜間勤務(午後4時から午後23時40分)を1週間おきに交代するシステムになっていました。

「男性 41歳 茨城県 体験談」

最初に配属された職場は、自動車のエンジン部品の製造工場です。エンジン部品と言っても様々なものがありますが、アクセルを踏んだ時に空気量を調整する部品(センサー)を造るラインを担当しました。詳しい内容として、一つの部品を造るにも様々な工程を流れて完成となります。主にそのライン内を動き回り、エラー部品を回収したり、機械が不具合を出して止まってしまった際の対応などです。簡単に言うと、勤務時間中立ち歩いて、座って休憩する暇などは皆無となります。慣れると作業に没頭できますし、上司や同僚も煩くないので、一人仕事が好きな人には向いています。

勤務地

勤務地
勤務地の工場は全国に点在しています。
トヨタ自動車本体であれば愛知県内のいずれか、日産自動車であれば横須賀市、横浜市(日産自動車九州の場合は福岡県)、ホンダ技研であれば埼玉県の狭山、寄居、小川のいずれか、といった具合にバラバラです。

自宅の最寄りの工場に勤務する以外は、寮に入ることが前提になりますので、仕事を選ぶ時は企業名、仕事内容のほかに、休日に観光などに行くことを目当てに、自分がどこに行きたいかもある程度イメージしておきましょう。
ただし一つの会社で2つの工場がある場合は、どこの工場の配属されるかは指定できないことが大半です。工場が一つしか無い場合は自然とその場所に配属になります。

では、大手40社以上の勤務先工場をエリア別に分けています。

勤務時間

会社または配属工場によってまちまちです。たとえば早朝から夕方、夕方から深夜の2交代制、工場が24時間稼働していて、早朝から夕方、夜から明け方までの2交代制もあれば、3直2交替(従業員を3グループに分け、昼勤務、夜勤務、休日の3パターン)で仕事をするケースもあります。

休日

基本的には土・日の週休2日制、その他、お正月、GW、夏休みがあるところが多いようです。ただ下記の通り、操業状態によっては、休日出勤もありえます。

残業・深夜・休日出勤

残業・深夜・休日出勤は必ずあるといっていいでしょう。
なぜなら期間工(期間従業員)の仕事は、「期間工(期間従業員)が高給で好待遇、雇用条件が良い理由」で解説したとおり、車の生産台数増産(減産はあまり関係ないかもしれませんが)に合わせて、各社の製造部門の正社員では対応しきれない、人手が足りない部分を、担うのが仕事だからです。もちろん別途手当が付くケースが大半です。
期間工(期間従業員)は、このように臨機応変に対応する分、その会社の正社員より給与面で遙かに好条件で契約していますので、当然といえば当然です。一般の製造部門の正社員はそんなに手当はもらえません。

食事

ほとんどの工場には食堂がありますので、格安の実費または無料で食事を取ることができます。また帰宅後は寮に食堂があるところも多いので、こちらも格安の実費または無料で食事を取ることができます。また食事手当として10,000円など手当がでる会社もあります。

寮
期間工の仕事の大きな特徴に「寮に入ることが多い」ことが挙げられます。たしかにトヨタ、日産、ホンダ、マツダなど各社の期間工募集要項を見ると、どの会社も「寮費無料」「水道光熱費も無料」「ワンルーム個室用意」「テレビ、冷蔵庫、エアコンすべて完備」であることがほとんどです。派遣会社からの派遣社員とは違って、メーカー直接雇用の場合は、各社の独身寮に(大半が)無料で入居することができるというメリットがあります。もし現在、独身で、かつ賃貸住まいで月に家賃を払っているのであれば、だんぜん寮に入って仕事をすることをおすすめいたします。

をみる。

「期間工グッド編集部より」

現在の日本では、車の生産台数に限っていえば、全体で約900万台となっています。おおげさな良い方をすれば、期間工はその一翼を担った仕事だといえます。特に車が好きな方は、トヨタや日産、また関連メーカーの現場で実際に生産過程に携わることができるのでおすすめではないでしょうか。

仕事内容や待遇をご覧いただいてもわかる通り、ブラックな仕事というわけではありません。確かに仕事内容は場合によっては単調でつらいこともあるかもしれませんが、数週間で慣れてしまう人が大半です。

勤務先工場の情報